【Book】時の流れをゆったりにする、フィンランド流・暮らしのヒミツとは?(「ふだん着のフィンランド)

北欧やフィンランドになんとなく惹かれる人たちにとって、"必読の書"といえる本が、このたび発売されました。

ふだん着のフィンランド
By モニカ・ルーッコネン

「ふだん着のフィンランド」

<文>モニカ・ルーッコネン <写真>カタリーナ・ヤルビネン <出版社>グラフィック社 (2015/1/7)

 

フィンランドのデザインはどうして素敵なんだろう?フィンランドデザインの器やテキスタイルや家具に囲まれていると、心地よい風を受けたように心が爽やかに、同時に穏やかになるのはなぜだろう?フィンランドでは、なぜ美しいデザインが日常に溶け込んでいるのだろう?自然と人間が調和しているように感じるのはなぜだろう?

フィンランドを旅すると、気持ちがゆったりとくつろぐのは、なぜだろう?

どうしたらあんな風に時を過ごせるのだろうか?

 

 

そんなことを感じたならば、この本はあなたにとっておきのヒントを教えてくれます。

■フィンランド人の著者が綴る、フィンランド流「心地よい暮らし」の作り方

 「ふだん着のフィンランド」から。とあるお宅のダイニングの様子。アルヴァ・アアルトの家具でまとめられています。/ Photo: Katariina Jarvinen

「ふだん着のフィンランド」から。とあるお宅のダイニングの様子。アルヴァ・アアルトの家具でまとめられています。/ Photo: Katariina Jarvinen

この本では、「フィンランド人は家のインテリアをどんな考えで、どんなものを選んでいるの?」「家の設計はどんな点を配慮しているの?」といった「フィンランド人のふつうの暮らし方」について丁寧に解説がされています。モニカさんが「フィンランド人の暮らし方の根本にある考え」として挙げている特徴のうち、一部を抜粋してご紹介しましょう。

・流行に左右されない普遍的なデザイン、質の良い物を選ぶ。それを親から子へと受け継ぐことで、美意識や感性も受け継ぐ。

・多くの人の美意識に共通しているのは、自然なもの、素朴なもの、ミニマルなもの、合理的なものを好むという点。身の回りの自然を反映したような色を好んでインテリアに取り入れる。

・メイド・バイ・ミー。好きなブランドのテキスタイルを買って、自分でカーテンやテーブルクロスを縫う人もたくさんいる。

上記のようなフィンランド人の美意識を感じさせるフィンランドの一般家庭の写真も多数紹介されているのですが、家の中にとどまらず、なんと「庭のつくりかた」まで語られています。どんな植物を中心に植えるのか・・・など。フィンランド人は美しさだけを追求するというよりは、「食べられる」ものをちゃんと植えるのだそう。なぜでしょう?

  「ふだん着のフィンランド」から。とあるお宅の庭。  / Photo: Katariina Jarvinen

「ふだん着のフィンランド」から。とあるお宅の庭。/ Photo: Katariina Jarvinen

■フィンランド人は、現実的で、合理的!?

家や庭の話において、この本では「現実的に」「合理性を大切に」といったワードがしばしば登場します。(例えば、最近のフィンランド宅では床に絨毯ではなくラグを敷く家が増えているのだけど、それはラグの方が安いし屋外に運んで掃除もしやすいから。合理的でしょう?といった具合。)庭にベリーやリンゴを植えるのも、そのほうが「現実的」だから、だそう。素敵なデザインに囲まれて、ゆったりのんびり、「余裕」を想起させるフィンランド人の暮らしが「現実的で合理性を好む」だなんて、一見、意外な感じがしませんか?「合理的な人」と聞くと、デザインやクリエイティブなことなんてどうでもよくてスピード重視で無機質で味気ない生活をしてそうな・・・感じを思い浮かべそうになりませんか?

しかし読み進めていくと、フィンランド人が「合理的なのを好む」とは一体なんたるかが少しずつ分かってきます。ある部分を徹底的に合理的にシンプルにするからこそ生まれる時間の余白・余裕を楽しんでいるともいえるし、「合理的に、現実的に」やりくりする行為自体を楽しんでいる部分も、あるようです。

もしかするとフィンランド人の極意は、「合理性」と「遊び」の緩急をつけること、なのかもしれません。それはインテリアや庭といった「暮らし方」のことだけにとどまらず、人生の時間の流れそのものを緩やかに自分でデザインしている、ということのような気がします。速く速く、人より早く、多く、たくさん、上に上に・・・一本槍の走り方とは違う人生の歩み方。

ただ見た目のかっこよさ、”おしゃれさ”、を気にして作られたデザインとは違う魅力をフィンランドのでデザインに感じるのもそのせいでしょうか。例えば冬は長くてとても寒いという現実に向き合い、自然に向き合い、限られた資源に向き合い、それに対して、「合理的に」生きるために、知恵と工夫と創造力を働かせてきた。・・・そんなフィンランド人のイメージが、この本を読んでいると浮かんできました。(これは、本を読んだ、ほしの個人の感想ですが。)

 

■あの「カレリアンパイ」のレシピや靴下の編み方も

さすがフィンランド人によるフィンランド本。フィンランド伝統のカレリアンパイやサーモンスープ、クラウドベリーケーキといった料理のレシピや、フィンランド人にとって編み物で大定番だという靴下の編み方まで教えてくれています。本当に生活密着型、きめの細かさもこの本の魅力です。台所に、リビングに、置いておくとつい、ぱらぱらとページをめくりたくなります。

  「ふだん着のフィンランド」から。とあるお宅の食卓。「トナカイのシチュー」のレシピも紹介されています(日本では作れるのだろうか・・・ということはさておき。)  / Photo: Katariina Jarvinen

「ふだん着のフィンランド」から。とあるお宅の食卓。「トナカイのシチュー」のレシピも紹介されています(日本では作れるのだろうか・・・ということはさておき。)/ Photo: Katariina Jarvinen

  「ふだん着のフィンランド」から。著者モニカさんのお母さんが編んだという靴下。  / Photo: Katariina Jarvinen

「ふだん着のフィンランド」から。著者モニカさんのお母さんが編んだという靴下。/ Photo: Katariina Jarvinen

いかがでしたか?ここで紹介したのは、本の、ほんの、ほんの、一部です。ほかにも、台所の秘密、サウナや森の楽しみ方、キノコ狩りのこと、サマーコテージのこと、ムーミンのこと、などなど、フィンランドの人々が好きなこと、楽しんでいることやその楽しみ方がたくさん紹介されています。紹介しきれませんので、二回に分けて紹介しようとも思ったのですが・・・思い切って一部だけを紹介しました。

あとは皆さま、本を手に取って思い思いに、フィンランド流を楽しんでみてください!どこが好きだ、どの部分に興味を惹かれる、というのは人それぞれだと思います。ちなみに私は、いまだに「どうしてフィンランドが好きなの?」と人から質問された時、分かりやすく説明することができず困っているのですが、この本を繰り返し読むことで、なぜフィンランドなのか、をもう少し人に上手に説明ができるようになる気が・・・します。(少しだけ。)(ほしの)

  「ふだん着のフィンランド」から。著者のモニカさんが撮影したものです。冬の楽しみ方についても、教えてくれています。  / Photo:   Monika Luukkonen

「ふだん着のフィンランド」から。著者のモニカさんが撮影したものです。冬の楽しみ方についても、教えてくれています。/ Photo: Monika Luukkonen

Special Thanks to: Ms. Kasai (Graphic-sha Publishing Co., Ltd. )


[本書の内容](グラフィック社による書籍紹介ページより)
Chapter1:フィンランドの家 ヨハンナとエーロの家/ 心地よい暮らしの作り方/ もうひとつの家、サマーコテージ/ サウナは家の必需品/ フィンランドの庭 など
Chapter2:フィンランドの食卓 いつもの食卓/ フィンランドのキッチン/ パンが大好き! / フィンランド人は「 ベリーイーター」/ キノコ狩りの季節 など
Chapter3:わたしたちが好きなこと 森で過ごす静かな時間/ 長くて暗い冬 / トントゥとペイッコ/ ラップランド など
Appendix1 フィンランドデザインミニガイド/ 
Appendix2 ヘルシンキ&ラップランドミニガイド/ SOUVENIR OF FINLAND(巻末とじ込みポストカード)


※記事初出時、一部写真クレジットに誤りがありましたので訂正致しました。お詫び致します。2015/1/23